【コラム】日本の解決策は円安との共存を学べ 市場の動きは口先介入の力の喪失を示している

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日本の政府高官は「口先介入」のボリュームを最大限に引き上げたが、トレーダーはそれにほとんど気付かなかった。

鈴木俊一財務相と松野博一官房長官は7日、円安傾向が続けば「対応」すると、為替介入を暗示する表現を用いた。しかし、トレーダーが果たしてこれに気付いたり、関心を持ったりしたのか、相場動向からは分からなかった。円は一時1ドル=145円に接近し、24年ぶり安値を更新した。

これは日本の当局者の言葉を一言ももらさぬように為替トレーダーらが耳を傾け、発言のニュアンスを分析し、「ミスター円」の異名を取る榊原英資氏ら当局者の一挙一動を注視していた時代とは大違いだ。榊原氏の後任の財務官になった黒田東彦氏は現日本銀行総裁で、現在の状況を作り出したとは言えないにせよ、少なくとも青写真を作るのを助けたと言える。

現在の神田真人財務官は円の動きについてほとんど発言せず、ずっと控えめな態度を保っている。ただ、今週の行動は口先介入がかつての力を失っていることを示している。日本は円対応からあまりにも長く離れたため、トレーダーは7日の明らかに踏み込んだ当局者発言をどう分析すべきか分からなくなってしまったのかもしれない。日本が最後に円安を是正しようとしてから数十年が経過している。

しかし、市場は日本が動けないと捉えている可能性の方が高い。過去の多くの円高是正の試みとは異なり、当局には「弾薬」が限られている。米国からは協調介入への支援はなく、状況の是正に向けた国民からのプレッシャーもほとんどないように見受けられるため、岸田文雄首相はいつもの慎重なアプローチを取り、状況が自然に修正されるのを待つ公算が大きいように思われる。

恐らく日本の解決策は、大多数の人々の新型コロナウイルス対応と同様、状況との共存を学ぶことだ。円安は難題だが、少なくとも英国の「生活費危機」のような一触即発の政治問題ではない。日本のニュースの見出しの中心となっているのは、物価高ではなく、安倍晋三元首相の殺害後に明らかになった世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の一部との関係だ。

円安は好機でもある。岸田首相も既に指摘しているが、それを十分に行動に移していない。観光立国として日本の地位を復活させるのに現在ほど良い時期はない。世界でこれほど多くの人が訪問して金を落とすのを心待ちにしている国はないのだ。新型コロナ感染拡大のために停止したビザ(査証)免除を復活させ、正式に国を開き、それから利益を得るべきだ。

首相はさらにもう一歩踏み込み、日本に製造拠点を移す国内・海外企業の両方に対する税制優遇措置を拡大することもできる。日本の労働力は今や熟練した技能があるだけではなく、コスト効率も良い。日本はこの時代、口で言うだけなら簡単であることと、円が安いことを受け入れる必要があるだろう。

(リーディー・ガロウド氏とダニエル・モス氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:

Tokyo Is All Bark, No Bite. Get Used to a Weak Yen: Reidy & Moss(抜粋)

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著者:リーディー・ガロウド、Daniel Moss

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