日本でいちばん「幸せ」なのはどんな人たちなのか 1万人に聞いてわかった日本人の意外なリアル
コロナ禍よりも前に同じような現象が見られたのが2012年、東日本大震災の後である。家族や友人などの大切な人たち、平穏な日常について、災害時にはそのかけがえのなさを改めて思い出すということのようだ。
いろいろ不便はあるが、「世の中にはもっと大変な人がいる」「自分の大切な人は、元気でいてくれる」「今日も無事で過ごすことができた」という、まさに「足るを知る」という満足感が、このじわりと増える幸せ実感の一部となっているのだろう。
10代では減少、20代で最も伸びた幸福度・生活満足度
この傾向を年代別にみると、10代では唯一幸福度、生活満足度ともに減少、逆に、どちらも最も伸びていたのが20代だった。20代というのは、実は従来、幸福度も生活満足度も最も低い「谷」にあたる年代だ。
親の庇護下で自由に過ごしてきた10代から、「新兵」として社会に投げ出され、荒波に揉まれるタイミングを迎える人が多いのが20代という年代だ。ただし、コロナ禍の3年間に関しては、オフピークやテレワークが推奨され、慣れない満員電車や職場の飲みニケーション、しんどい外回りも自粛。社会の荒波も防波堤にせき止められた穏やかなものとなり、船出時の衝撃が緩和されたということだろうか。
一方で、本来ならレジャーに人づきあいにと青春を謳歌するはずだった10代は、それがコロナ禍により、すっかり台無しになってしまった。
10代は毎日の生活に充実感があるか、の「生活充実感」の減少も目立っている。高校生なら学園祭などの行事をみんなで準備して達成感を味わったり、修学旅行や卒業旅行で思い出を作ったり、大学生なら部活動・サークル活動やコンパ・飲み会といった生活の充実感を構成する経験が持てなかったことが、幸せ実感の低下につながったとみられる。
生活充実感は、実は60代、70代の高齢者もコロナ禍でダウンしている。仕事という社会生活の場を持っている割合の少ない高齢者も、外出や旅行の自粛によって、経験や活動、人とのコミュニケーションが減少することで生活の充実感に影響が出やすい。ただし、高齢者の方ではこれまでの人生経験から、「自分はまあ恵まれているほうだ」との「足るを知る」意識が働くが、10代の若者ではそのような俯瞰ができないため「幸せ」実感の低下に直につながるのだろう。
いちばん「幸せ」なのは誰か?幸せの条件
では、現代の日本でいちばん「幸せ」を感じているのはどのような人たちか? 幸福度スコアを層別に比較してみよう。
まず、生活満足度・幸福度・生活充実感のすべてで、「幸せ」は年収に応じて高まっていく。「幸せ」を感じるためにお金がすべてとまでは言わないが、経済的状況は十分条件でなくとも必要条件であることは間違いなさそうだ。だからこそ、景況感が大きく悲観に傾いたコロナ禍で、「幸せ」を感じる人が増えたというのは、興味深い結果だった。
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