人がモノを買う「欲望」の奥底に連なる8つの本能 たった2つの究極本能から色々な方向に枝分かれ

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拙著『ヒトが持つ8つの本能に刺さる 進化論マーケティング』でも詳しく解説していますが、私たちの欲望は原始時代の環境で起きる問題を解決するために設計され、それが現代にも受け継がれたシステムでした。

それゆえに、現代人の行動は、本能による無意識のコントロール下にあると考えられます。

つまり、「その奥にある“本能”とは?」という問いは、「現代人の消費行動は、原始の環境においてどう位置づけられるのか?」を考える行為にほかなりません。私たちが商品を買う理由の奥を探り、人類が持つ“究極のモチベーション”を探ることこそが、進化論的なアプローチの最重要ポイントとなります。

それでは、私たち現代人を動かす本能とは、いかなるものでしょうか?

「お金が欲しい」「健康になりたい」「有名になりたい」など、現代人の欲望にはいくつもの種類がありますが、なかでも私たちの行動に影響をおよぼす本能についてどう考えればいいのでしょうか?

最奥にある本能のシステムは2パターンしかない

進化のプロセスに照らせば、人類の最奥にある本能のシステムは、実は2パターンしかありません。

1 生殖:自分のDNAを後世に受け継がせたい欲望
2 生存:個体としての自分を長生きさせたい欲望

この2つが人類にとって根源的な動機なのは理解しやすいでしょう。

遺伝子を残せなければ人類という種族そのものが死に絶えますし、そのためにはできるだけ長生きして生殖のチャンスを増やさねばなりません。

生殖と生存を至上命題にしたからこそ、人類は厳しい自然淘汰を生き延びることができました。これはあらゆる生物に見られる行動原理であり、まさに“究極本能”と呼べるでしょう。

もちろん、生殖と生存の欲望は現代人の中でも動き続け、私たちの表に現れるモチベーションを裏から左右しています。たとえば、高級品を買う欲望の奥に「生殖の本能」があるのはプロローグで見たとおりですし、「健康になりたい」という欲望が個体の生存に役立つことは言うまでもなく、有名になりたい欲が満たされればDNAを後世に残せる確率も上がるでしょう。

私たちの欲望は、たった2つの究極本能からいろいろな方向に枝分かれし、現代の環境に沿った現れ方をしているのです。

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