実は「酷暑」で世界の旅行業界に激変が起きている 欧州ではハイシーズンや旅行先に変化の兆し
「お客様は戸外で過ごす子どもへの影響を心配されていたが、解約規定があったので決行することにした」のだと言う。
旅行者が実行できる暑さ対策は、いろいろとある。ヴァーガスは、午後に組み込まれた顧客のツアーを夕方の涼しい時間帯に移すようにしている。ただ、今年の旅行シーズンは混み合っているため、直前の変更は難しいかもしれない。
扇風機付きのスプレーボトルを持ち歩くのもいいと言う。この携帯用アイテムは、ヴァーガスによれば「とくに子どもがいる場合は、救いの神」になる。日除け用に傘を携帯するのもお勧めだ。来年の旅行シーズンとしては、5月や10月に注目しているとヴァーガスは語る。
マドリード市議会で観光振興を担当するエクトール・コロネル・グティエレスは、真夏に同市を訪れる観光客に、緑の多い場所を積極的に利用するようアドバイスしている。例えば、マドリード・リオ公園には日陰が多く、子どもが水遊びできる噴水エリアもある。また、7月と8月は気温の高い季節ではあるが、5月や6月より人出が少ないため、人混みは避けやすいとも付言する。
暑さ慣れしているスペインは狙い目?
スペインでは、冷房が効いている場所も簡単に見つかる。ただ、アメリカからの旅行者には、普段慣れているのよりも建物の中の温度が高く感じられるかもしれない。スペイン政府は8月上旬、省エネルギー対策として今後はショッピングセンター、映画館、空港といった施設の温度を27度以下に設定することを禁じると発表した。
それでも、最近スペインから帰国した旅行作家でツアーオペレーターのリック・スティーブスは、夏場の旅行では、本来であれば暑くなく、したがって冷房も普及していないロンドン、パリ、フランクフルトのような都市よりも、マドリードのほうが実際には快適かもしれないと言う。
「スペインのように高い気温に慣れている国では、それに合わせた生活様式ができている。シエスタがあり、歩道には人々が日陰を歩けるようにキャンバス地の日よけが設けられている。レストランも風通しのいいところで食事ができるようにつくられている」
日焼け止めを塗る、水をたくさん飲むといった暑さ対策のほかにスティーブスが推奨するのは、美術館などのチケットを事前に予約することだ。そうすれば、暑い中、列に並ばなくて済む。