実は「酷暑」で世界の旅行業界に激変が起きている 欧州ではハイシーズンや旅行先に変化の兆し

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旅行会社イン・ザ・ノウ・エクスペリエンスのシニアバイスプレジデント兼統括マネジャーのカレン・マギーは、猛暑を理由に旅行プランを変更できないかとの問い合わせが7月半ばから相次ぐようになったと話す。

「初めての出来事でした。『ローマはやめて、もっとビーチに出かけやすい場所に行き先を変えたい』という問い合わせを受けたのは、私の思い出せる限り、今回が初めて。都市部での旅行日程を短縮して、予定より早く地方に向かうケースもあったようです」

アザリア・トラベルの創業者ドレフ・アザリアが担当したある家族は、旅行直前になって、最初の5日間をローマではなくアムステルダムで過ごす計画に変更したという。暑さを避けるためだ。イタリアのトスカーナ地方への旅行をキャンセルして、シチリア島のプランで予約を取り直す顧客もいた。これなら、少なくとも地中海のそよ風は期待できる。

「熱のこもる都市部から海岸沿いの地域にお客様(の旅行先)を移動させているわけです」とアザリア。「コペンハーゲンやアムステルダムなど、もともとお客様が考えていなかったような場所が選択肢に挙がるようになっています」

今後の夏の旅行シーズンは長く広がる予想

ただ、今のところ旅行そのものを取りやめるケースには直面していないと言う。

「先延ばしにされてきた需要がたまりにたまっているので。2年分の需要が今年の夏に凝縮されている形ですね」

来年は、夏の旅行シーズンが前後に長く広がると見越して計画を立てているそうだ。「夏が9月末、それどころか10月中旬まで延びることはもうわかっているので」。

猛暑のせいで旅行を取りやめようと思っても、解約規定を見ると払い戻しの可能性はほとんどないことがわかる。ピクシス・ガイドの創業者で旅行アドバイザーのジュード・ヴァーガスが担当した顧客は、家族旅行で出かけるポルトガルの暑さに不安を抱えていたが、結局はそのまま出かける選択をした。

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