耳鼻科専門医が教える「なぜ鼻の穴は2つあるか」 加温と加湿、除湿機能を兼ね備えたすごい器官
いびきに悩む人は実に4000万人いるといわれています。いびきや鼻づまり、アレルギー性鼻炎などで「鼻呼吸」がスムーズにできないことで、睡眠負債が蓄積され、さまざま不調や病気になることも。
瞑想やリラクゼーション、運動などにおいても、呼吸を意識される場面がいろいろあると思います。大きくゆったりとした呼吸をすると、心も次第にゆったりとしてきますよね。
息を吸うと肺は膨らみ、吐くとしぼんで息を外へと排出する。いたって当たり前のことですが、息を吐いても、肺はなぜペチャンコにつぶれないのでしょうか。
実は、その役割に鼻が関係しています。
鼻から肺まで、息の通り道には抵抗があり、その抵抗があるおかげで肺はつぶれずにすんでいます。例えば紙風船。小さな穴があいていますが、風船の中の空気は一気にその穴から出入りすることはできません。これが抵抗です。この紙風船が破れてしまうと、一気にしぼんでしまいます。
大きな穴が開いてしまうことで、風船の中の空気は何の抵抗もなく外へと抜けてしまうことが、想像していただけると思います。呼吸において鼻から気管支までの通り道の抵抗のうち、全体の6割は鼻による抵抗になっています。
もし人の呼吸が鼻や口からでなく、胸から直接空気を取り込んでいたとしたら、呼吸における抵抗はきわめて少ないため、とても浅くて1回に換気できる量も少ない呼吸だったでしょう。ラジオ体操の深呼吸もできなかったかもしれませんね。
鼻呼吸には加温効果と加湿効果がある
肺で酸素と二酸化炭素を交換することが呼吸の目的なのであれば、肺からもっと近い距離で呼吸をしたほうがずっと効率的なはずです。
しかし、なぜ距離の離れた鼻から呼吸をするような構造になっているのでしょうか。実は、肺で効率的な酸素と二酸化炭素の交換を行うためには、適度な温度と湿度が必要になり、その役割も鼻は担っています。鼻から吸い込んだ空気は鼻の奥に到達するまでに温められ、温度を上昇させます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら