日本人に伝えたい「稲作が温暖化促進」の衝撃事実 CO2の25倍の温暖化効果があるメタンを排出

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日本も参加していて、今年6月17日にアメリカ主催で開催された「エネルギーと気候に関する主要経済国フォーラム(MEF)」に岸田首相は、ビデオメッセージを寄せた。「グローバル・メタン・プレッジおよびメタン対策における世界規模の迅速な行動の重要性を改めて強調します」と明言している。ようやくメタンに目線が向かってきたところだ。

ただ、アメリカをはじめとする世界のメタンの排出量上位10カ国のうち、中国、ロシア、インド、イランは参加を見送っていた。

そうしたところに、今年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻がはじまった。西側諸国の経済制裁によって、ロシア産の原油の輸入禁止措置をとったことで、世界的な原油高に拍車をかけ、ロシアに天然ガスを依存する欧州諸国では供給が減ったこともあって、石炭への回帰が進む。

ドイツやオランダでは、これまでの石炭火力の制限を撤廃する方針を、すでに打ち出している。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より低く保つことを長期目標として、1.5度に抑える努力を追求するとしたパリ協定も、実現可能性が危ぶまれる。地球温暖化対策は後退している。

小麦の代替として注目を集めるコメ

そこに世界的な食料危機への懸念が出てきた。なかでも小麦は、ロシアが黒海を封鎖したことでウクライナ産の輸出が滞り、小麦の国際価格が高騰。ウクライナからの輸入に頼っていた中東やアフリカ諸国は窮地に追い込まれている。

日本でも、すでに4月の時点で政府が買い付けた輸入小麦を製粉会社に売り渡す「売り渡し価格」が、前年10月期と比べて平均17.3%も引き上げられた。これはロシアが侵攻を開始する以前から、北米を襲った干ばつによる不作で国際価格が上昇したことによるものだが、ロシアによる黒海封鎖の今後の動向によっては、この10月に迫った小麦の売り渡し価格の見直しにも影響が出ないとも限らない。

さらには、エネルギー価格の高騰やアメリカをはじめとするインフレ傾向が拍車をかけて、日本国内でも食料品価格の値上がりが続いている。

そうしたなかで早くから小麦の代替に注目されているのがコメだ。食料自給率が37%の日本でも、コメはほぼ100%自給できる。

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