16代目クラウンが何とも大胆な変身を遂げた意味 目指すのはレクサスにもベンツ、BMWにもない境地

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さて、本稿に関する編集部からの依頼である「レクサスや海外勢と、同じ高級車の分野でクラウンはどう差別化していくのか?」というテーマに答えよう。

まだ1mmもクルマを動かしていない段階で断定的なことはいえないが、新型クラウンは従来のイメージと対照的に、現時点でTNGAというコンセプトに基づき入手できるトヨタのあらゆる最新コンポーネンツを集め、最新のデザインを与えて短期間にまとめあげ、その中に日本国内での扱いやすさを含め「誰が乗ってもクラウンだよね」というエッセンスを溶かし込もうとしている。さらに、ハンフリーズ・デザイン領域統括部長が「attainable(到達できる)」と表現するところのコストパフォーマンスにも重きが置かれている。

旧来のクラウンファンが離れたとしても

他の高級車ブランドは、それぞれのブランドに根ざした価値観やデザインを追求したうえで、消費者の収入や年齢、性別といったターゲットによって車種構成にバリエーションを設け、その中から選んでもらう仕掛けである。装備群もメカニズムも突飛なことはなく、何か大きな変更があればブランド全体がそこへ向かって突き進んでいく。

既存のFRセダン・ファンはどこへ行くのかといえば、いまはトヨタの価値観をクラウン以上に突き詰めたレクサスがあり、後輪駆動セダンという選択肢もメルセデス・ベンツやBMWに残されている。日産自動車にもスカイラインが健在である。旧来のクラウンファンが離れていくことのインパクトは、もはや大きくはないだろう。

新型クラウンは発想の起点からして他ブランドの高級車とはまったく違うモデルであるから、他との差別化などにとらわれることなく、オリジナリティを追求していってほしいと願う。バンバン売って、儲けて、いい装備をお得な価格で届けて多くのオーナーを幸せにしてほしい。

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田中 誠司 PRストラテジスト、ポーリクロム代表取締役、PARCFERME編集長

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たなか せいじ / Seiji Tanaka

自動車雑誌『カーグラフィック』編集長、BMW Japan広報部長、UNIQLOグローバルPRマネジャー等を歴任。1975年生まれ。筑波大学基礎工学類卒業。近著に「奥山清行 デザイン全史」(新潮社)。モノ文化を伝えるマルチメディア「PARCFERME」編集長を務める。

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