16代目クラウンが何とも大胆な変身を遂げた意味 目指すのはレクサスにもベンツ、BMWにもない境地

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車体を側面から眺めると、ドアパネルの上端がかなり上方に設けられている一方、サイドウィンドーは天地に薄く、室内からの眺めのよさよりも外観のスタイリッシュさを優先したことがうかがえる。

上級モデルの標準装着タイヤは21インチと巨大ながら、幅は225サイズでしかない。筆者がウェブでざっと探した限り、大手メーカーではミシュランとファルケンくらいしか交換用タイヤを用意していないこの珍しいサイズを選んだのは、見栄えのよさと走行抵抗やロードノイズの低減を両立するのが目的だろう。

ボンネットを開けて見えてきたのは…?(筆者撮影)

外観はとてもモダンでスタイリッシュなのに、ボンネットを開けると、エンジンのヘッドだけ黒い樹脂で覆われていて、ほかは機材も配管も剥き出し、開けたボンネットの支柱もダンパーではなく、つっかえ棒という割り切りぶりもすごいと思った。

旧来クラウンから保った美点

その一方で、旧来のクラウンの美点を保ち、発展させていこうという強い意志もうかがえる。

ルーフからリアエンドへ連続的なアーチを描くボディラインからは、当然、屋根の真下を支点に開くハッチバック式のテールゲートを備えると想像していた。しかし実は後席の背後しか開かないノッチバック式で、トランクスルーも中央部のみに限られる。ユーティリティ性は限られるものの、クラウンと聞いて想像する静粛性を実現するため割り切ったのだろう。

ボディサイズは、これまでのように1800mm未満というわけにはいかなかったが、全幅を1840mmにとどめた。全高も1540mmに抑えて、日本の多くの立体駐車場に収まるサイズとしている。

後輪には4輪操舵システム(DRS)を全車標準装備とし、高速では安定性向上とロール抑制、低速では小回り性能の改善を図っている。最小回転半径はFRゆえハンドルが深く切れる従来型クラウンの5.3mに近い、5.4mに抑えられた。

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