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青木さやかさん「なんだかパソコンを使えない訳」 電源が入るものを避けていたらアナログ人間に

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「そんなに応援してもらって。申し訳ないです」
「やれよ」
「やりますかね、いちろうさんに言われたら、やりますかねえ」
「やりなさいよ」
「気は進みませんよ、もちろん」
「なんなんだよ」
「またパソコン使わないなんてことになったら、あー」
「なに」
「ダメだな、わたしって」
「最初からダメなんだから、大丈夫だよ」
「なるほど」
「やろう、世界が広がるよ、さやかちゃん」
「えー。すごいー」
「気持ちこもってないね」

1年間、優しい布巾みたいなもので拭いている

わたしはパソコンを購入した。PCデポのお姉さんにいろいろ話を聞き、吟味して選んだ、とてもかわいいグレーのパソコンだ。お姉さんは、「かわいがってあげてくださいね」と言った。

「どうすればかわいがることになるんでしょうか?」
「使っていただいたら」
「はい、わかりました」

『厄介なオンナ』(大和書房)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

グレーのパソコンが自宅にきて約1年、わたしはわたしなりにかわいがっている。ほこりがつくと、拭いている。娘がたまに使っている。あとは、わたしは、ほこりを拭いている。大切に、優しい布巾みたいないいもので、拭いている。1年間、拭いている。

先にも書いた『母』は、スマホのLINEで書いた。

よく書きましたね、と言われるが、パソコンのキーボードの、文字を探しているだけで疲れてしまう。できれば頭に浮かんだと同じスピードで文字を打ちたい。昔、本を書いたときは原稿用紙に手書きで書いた。今は、手書きより、LINEのほうが速い。LINEを使っていると、たまに指が痛くなって書けなくなる。その話を友達にしたら、

「指が痛くて書けないなんて、手塚治虫以来じゃない」と言われて、もちろん悪い気はしなかった。

パソコンは、うちのいい位置に鎮座している。3度目の正直で購入した大切なパソコンをわたしはまだ諦めてはいない。今夜も、やわらかい布で拭こうと思ってる。

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