弁護士「売り手市場」、技術革新で業務は急拡大 『弁護士のすゝめ』多田猛氏、宮島渉氏に聞く

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(撮影:尾形文繁)
(写真右)宮島 渉(みやじま・わたる)/法律事務所フロンティア・ロー 代表弁護士。コンサルティングファームを経て、司法書士として働きながら大宮法科大学院に学び弁護士に。主業務は中小企業とその経営者の問題の発見・解決。正義の総量を増やすことを目指す。

 

(写真左)多田 猛(ただ・たけし)/イーリス総合法律事務所 代表弁護士。京都大学法学部卒業。社会人経験を経て一橋大学法科大学院未修者コース修了。スタートアップ支援や教育に関する法務支援を行う中、自らも起業。司法制度改革はライフワーク。
平成の司法制度改革で司法試験合格者数増が決まった。新制度後、2008年の合格者数は2200人を超え、数が増えた弁護士は「食えない」といわれてきた。が、21年に日本組織内弁護士協会理事長が合格者数増を求める声明を出し、合格者の減員を提言し続けてきた日本弁護士連合会(日弁連)も、22年3月にはこれ以上の減員は求めないとした。
弁護士のすゝめ─最強資格のリアル。そして令和版司法改革へ─
『弁護士のすゝめ─最強資格のリアル。そして令和版司法改革へ─』(宮島 渉、多田 猛 著/民事法研究会/1540円/303ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──売り手市場とは驚きました。

宮島 弁護士は使わないとよさがわからないので、供給が需要をつくる面があります。例えば、企業内(組織内)弁護士は20年前に74人だったのが今は3000人弱。採用したらよかったのでもう1人、というふうに増えたと思います。

多田 個人案件も同じです。以前からある離婚のような家事事件、賃金不払いのような労働事件の弁護士利用率が上がっています。互いに弁護士をつけたほうが冷静に話し合えると認識され、個人のリーガルマーケットも広がっている。

宮島 弁護士が身近になり、泣き寝入りしていた人が権利行使するようになった。それに対応する企業もコンプライアンスを意識する。「法の支配」が行き渡るという意味で制度改革の趣旨に合致しています。それでもまだまだ不十分。例えば、紋別市初の弁護士事務所には2年で600件もの相談が寄せられた。法律問題が全然ない地域なんてないのですが、無医村ならぬ無弁護士自治体は結構あります。医師34万人に比べ弁護士は4.3万人しかいません。

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