「一律一斉授業」を見直した公立小教員が思う「自ら考え学ぶ力」の育み方 「主体性が出ちゃう場」をつくるのが教員の仕事
主体的に学んでないのに「主体的に学ぼう」はおかしな話
大窪氏は、今年度は1年生の担任だ。まずは子どもたちが学校の中に溶け込めるようにしてあげることが課題だが、「できるだけ子どもたちの文脈を大事にしたい。校内や公園に『Feel℃ Walk』(※3)に行き、気づいたことを絵や写真で表現する時間などは取っていますが、もっと遊びの中から学ぶような活動も取り入れていきたい」と話す。
※3 一般社団法人みつかる+わかるが提唱する、「なんとなく気になるモノ・コト・ヒトを追い求めてあてもなく歩き出す」活動
また、今年度から1年生の朝顔のプランターを卵の殻を再利用した袋に変え、支柱も竹の枝を使うことにした。保護者や5・6年生の力を借りて実現した、サステイナブルで協働的な活動だが、「今の1年生が高学年になり、今度は彼らが低学年に伝えていけるような循環を目指しています」と大窪氏は説明する。

まさに新たな学習指導要領が重きを置く「主体的・対話的で深い学び」に取り組む大窪氏だが、これは教師のあり方にもつながることだと言う。
「不透明な時代を生きる子どもたちにとって、主体的に学び続ける非認知的な能力は絶対に必要な力です。しかし、主体的に学んでない僕らが、『主体的に学ぼう』と言うのはおかしな話。だから教師が自ら学ぶことは必須であり、僕自身もそれを示していきたいと思います」
実際、さまざまな学びの場に参加し、コロナ禍で出会ったオンライン学習サークルの仲間との学び合いも毎週続いている。大窪氏は一般企業を経て教員になっており、そんな社会経験が視野を広くしている面もあるのかもしれないが、学校外の世界にアクセスして社会と子どもたちをつないでいく姿勢は、今の教員に求められることではないだろうか。
一方で、教員は忙しく、対話の時間や量が足りていないという課題には苦しんでいるという。しかし、そんな中でも大窪氏は前を向く。
「『なぜこの活動を行うのか』と対話を大切にし、今年度は子どもたちに本当に必要な学習評価や教育評価というものも問い直していきたいと思っています」
(文:編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:大窪昌哉氏提供)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら