英シンクタンクの安全保障会議に警戒する中国。自ら主催する会議で影響力の拡大を狙っている。

米中国防相会談の後、記者に囲まれる魏鳳和国防部長。日米に比べ、中国の反応は冷淡だった(写真:ロイター/アフロ)
6月10日から12日まで、シンガポールにおいてアジア太平洋地域の国防相や専門家などが参加する多国間会議、アジア安全保障会議が開催された。シャングリラ・ダイアログである。この会議に合わせ、米中国防相会談が実施された。日本のメディアは米中間の緊張が緩和されるのかと、会談を積極的に報じている。
しかし、中国はこの会談で米国との緊張が緩和されるとは考えていなかったようだ。会談前と会談後の中国の対米対決姿勢に変化は見られない。
米国に送った「3つのシグナル」
中国政府のホームページは、国営新華社の報道を引用して、シャングリラ・ダイアログに参加した魏鳳和国防部長がオースティン米国防長官と会談したという事実と、中国側の主張を米国に伝えたという内容を短く掲載するにとどまっている。新華社が詳細に報道しない一方、中国のタブロイド紙は会談の内容を報じている。しかしその報道も、中国が米国に「重要な3つのシグナル」を送ったという内容である。
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