ついに東急電鉄も「ホームドア」本格設置へ 消える「多扉車」、ラッシュ緩和の役目終える

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典型的であったのが京王電鉄の5扉車。20両しかなかったが、新製から10年にもならない2000年には、早くも役割を終えた形で半数が4扉車へと大改造。残る半数は支線の折返し運転用に追いやられてしまったのである。

山手線の6扉車はE231系に世代交代してからも引き継がれ、11両編成中2両に増やされたが、やはり全駅へのホームドア設置が決まり、2011年限りで4扉車に差し替えられて廃車された。東京メトロ副都心線の開業により、混雑も緩和される傾向となったことも、引退への引き金となっている。

JR東日本は多扉車に代わり、「幅広列車」を投入

冒頭で一部ふれた東急田園都市線などは、ラッシュの激しさでは首都圏でも有数であり、6扉車は、2005年と登場が遅かった。

しかも後に10両編成中2両から3両へと増強されるという、多扉車としては珍しい事例で、朝の渋谷方面行きの急行、準急に集中的に投入され、効果を挙げている。だが、ホームドアの設置という、大義名分の前にはかなわなかったようだ。

山手線の電車。6扉車は2011年に廃止。現在は11両編成全車が4扉。一方、JR東日本では「幅広列車」の導入も進む

現在、JR東日本では、多扉車に代わるラッシュ対策として、車体の幅が狭い電車(205系など)から、幅が広い電車(E233系)への置き換えを進めている。横浜線や埼京線などがこのケースで、同時に全車とも4扉にそろえている。

これは定員自体を増やして、収容力を上げようという狙いで、例えば埼京線では、6扉車2両を含む205系10両編成の定員が1424人であったのに対し、2013年に投入されたE233系は10両編成で1564人となった。むしろ、こちらの方が詰め込み策ではないかとも思いたくなる。

いずれにしろ、これらは通勤ラッシュ解消の抜本策ではなく、「対症療法」であることに変わりはない。サラリーマンが超満員電車から解放される日は、なかなか来そうにない。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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