軍事技術の流出めぐる北朝鮮との知られざる攻防 元スパイへ取材、暴露系情報小説の著者に聞く
軍事技術が日本から流出
――主人公の「山下」は、海上保安庁の職員で、海上ルートで密輸される麻薬の摘発や対テロ関連の捜査、北朝鮮に関連する事件や調査など、「スパイ活動」に従事しています。
「山下」は実際に会って何度も話を聞いた方がモデルです。10年以上前に知り合い、数年前に退官されました。現役の頃は表に出せなかった機密情報を、退官された今、小説という形式を取りながらギリギリのところまで出すことを許されました。またそのほかにも、複数の海上保安庁幹部から話を聞いています。
書いたことはあくまでフィクションですが、完全な空想ではなく、取材で聞いた話がベースとなっています。
――ミサイルやドローンの開発などに必要な軍事技術が、日本の民間企業や大学の研究室から北朝鮮に渡っているシーンが描かれています。
そうした技術にアクセスできる日本人は不遇であったりするなど、さまざまな不満を抱えているケースがあります。北朝鮮はそういう人に巧妙に近づき、甘言を弄して取り込もうとします。ハニートラップであったり、金銭の授与など古典的な手法ですが、未然に防ぐのは難しいのです。
技術の流出を阻止するために、疑わしい人間をあぶり出し、ある程度の証拠を集めてから接触します。しかしすでに北朝鮮と関係ができている場合は、慎重に動かないと、容疑者の身に危険が及ぶ可能性があります。どのようなことが起こりうるのかは小説で書いていますが、実際に事件化して表に出なくても、水面下ではいろいろと起きていると思います。
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