ホンダがテレワークやめ原則出社に踏み切る真意 「三現主義」重視する社内文書、疑問の声も

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「経営陣は現場を理解していない」

新型コロナの流行が長引く中で、テレワークを基本とする働き方を徐々に変える企業は増えている。

ただ、従来の出社を前提とした働き方へ戻すことについて、社内では不安の声が上がっている。あるホンダ社員は「働き方改革が進みテレワークの定着も進む中、ホンダは真逆に動くのか」と疑問を投げかける。

別のホンダの中堅社員は「在宅による日々の効率化と対面の合わせ技なら理解できるが、経営陣は現場を理解していない。優秀な学生の中からホンダを希望リストから外す人が増えてしまう」と嘆く。

同じ業界の日産自動車は「在宅勤務や時差出勤などを活用して感染対策をとっている」と回答。トヨタ自動車も「コロナ禍では在宅勤務が可能な職場でのより一層の在宅勤務を推進している」といい、東京や名古屋での4月末時点での出社率は4割以下にとどまるという。こうして見ても、ライバルたちと比べてホンダの選択は異質ともいえる。

ホンダは現在、三部敏宏社長の指揮の下、2040年に世界で売る新車をすべて電気自動車(EV)か燃料電池車(FCV)にする「脱エンジン」目標を掲げる。カーボンニュートラルや自動車の知能化などへの対応を迫られている。

「100年に一度の大変革期」と言われる自動車業界での生き残りを図る中、目標達成に向けて社内の意思統一が求められるところだ。

横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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