昔話や自慢話をしても嫌われない「50代トーク術」 どんな状況でも長々話すのはできるだけ控える

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若手に何かを伝えるのは、必ずしも悪いことではありません。若い世代に話を聞くと、「新卒の頃、年配の上司からビジネスマナーのいろはを教えてもらったのは、すごくありがたかった」と感謝している人もいました。

私も新卒で入った会社で、誰に対してもきちんと挨拶をする「礼儀」の大切さや、事実と意見を分けて話すこと、公式の場で言っていいこととダメなことの違いなど、TPOによる対応の仕方などを教えていただいたり、叱ってもらったりしていました。

だから今でも、ビルの管理人さんや掃除をされている方に挨拶をしない人を見かけると、「やっぱりそこは “おはようございます”とか“お疲れさまです”と言うべきじゃないか」と、ひとこと言いたくなったりもします。

いきすぎた説教はパワハラになることも

自分のこれまでの経験値で若い人に伝えるべきだと思うこと、もしくは客観的に考えて必要だと思えることは、やはり躊躇せずに伝えるべきでしょう。ただし、長々と説教をしたり、人前で叱責したりするのは、NGです。上司から部下でも、年上から年下でも、いきすぎた説教はパワハラになります。

だらだら長く話すのは、どんなときであってもよろしくありません。どうしても言わなきゃいけないときでも、基本は1分以内。短く、簡潔に、さらっと伝える。これが若手に何を伝える場合の重要なポイントです。

昔話も「俺の時代はこういうことがあってさ、あはは」と1分以内に簡潔に伝えれば、それほど「うざい」とは思われたりしないでしょう。それを延々と長く続けてしまうから、「聞かされるこっちの身にもなってみぃや!」と不快に思われてしまうわけです。

また、昔の話しかしない人は、今の話ができない、ということになってしまいます。会社で話すべきことは「今」の話です。昔話も織り交ぜて、今の話をするぶんにはいいのですが、昔の話しかしなかったら、今の役には立たないので、そういう面でもよろしくないでしょう。

今の若い人には、年功序列的な考え方は通用しません。相手が年上や上司であっても、シビアに見ています。昔の話もするけれど、今のやり方を取り入れ、成果を出している50代の話は参考にしたいと考えていますが、昔のやり方に固執して、成果を出していない50代の話は、聞いてさえもらえません。

「昔はこうだった」という話をするなら、現在の状況もきちんとキャッチアップして、「今は違うけどね」と言い添えることが重要です。

たとえば、「昔は徹夜で仕事したもんだけど、今はそういう時代じゃないからね」と現在の価値観で話をする。それなら昔話もありでしょう。「徹夜はもはやよくないけど、そのぐらいがむしゃらに仕事に取り組んだことは、今の仕事に活きているよ」とかでしょうか。

重要なのは、昔と今は何が違っているのかをしっかり認識することです。上司に誘われたら付き合うのが当たり前、2次会でカラオケに行くのが当たり前、カラオケでデュエットするのが当たり前、今どきいないとは思いますが、酌は女性がするもの、なんて価値観のままでは、完全にアウトです。

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