“中国ヘイト”と結びつく懸念を抱えつつも、資本を受け入れる日本企業が増えている。
任天堂やソニーグループ、マイクロソフトをもしのぐ“中国ゲーム王”――。
国内・海外を問わず、有力なプレーヤーが群雄割拠するゲーム業界。その中で業界各社がとくに注視しているのが、中国のテンセントだ。
テンセントといえば、大手SNSの「WeChat」などで知られる世界的IT企業。実は2021年度の売上高11兆円のうち、約30%に当たる3兆5000億円はゲーム事業によるもので、世界最大手のゲーム企業でもあるのだ。
『牧場物語』開発企業の筆頭株主に
同社の特徴的な動きが、矢継ぎ早のM&A(合併・買収)だ。2011年に『リーグ・オブ・レジェンズ』などで知られるアメリカのライアットゲームズの株式を50%取得し、2015年には完全買収。2016年にも『クラッシュ・ロワイヤル』などで知られるフィンランドのスーパーセル株の80%超を押さえ、傘下に収めた。
さらに『フォートナイト』で知られるアメリカのエピックゲームズや『PUBG』で知られる韓国のクラフトンにも出資するなど、海外のオンラインゲーム企業へ積極的に資本参画している。
そして、足元で加速しつつあるのが、コンテンツIP(知的財産)に強い日本企業への出資だ。
『牧場物語』などを販売するゲーム会社のマーベラスは2020年、テンセントの完全子会社と資本業務提携を締結。テンセント子会社が持ち株比率約20%の筆頭株主に浮上し、マーベラスは同社の持分法適用会社となった。KADOKAWAも2021年10月にテンセントのグループ企業と資本業務提携し、300億円の出資を受けた結果、第3位の株主にテンセントグループが浮上した。
テンセントによる一連の動きの意図は何なのか。同社の事業が抱える課題と業界関係者の声を照らし合わせていくと、その狙いが見えてきた。
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