ゲーム大手にアメリカの巨大IT企業、そしてその双方の顔を持つマイクロソフト。誰が覇権を握るのか。
ゲーム業界にも“GAFA”の波が押し寄せるのか――。
2022年3月、アマゾンはアメリカを対象にサブスクリプション(定額課金)型のゲームサービス「アマゾン・ルナ」を正式に開始した。標準プランは月額9.99ドル(約1150円)で、日本のカプコンやセガの人気タイトルを含め、100本以上のゲームが遊び放題となる。
同サービスはこれまで、ベータ版として一部のユーザーにのみ提供されてきた。クラウド技術を応用した配信で、家庭用ゲーム機やPCでのプレーが中心だった良質なゲームを、スマホなど多様なデバイスで楽しむことができる。
標準プラン以外にも、すべての年齢層で遊べるゲームをそろえた「ファミリーチャンネル」やアマゾンプライム会員なら無料で遊べる「プライムゲーミングチャンネル」など、計5つものプランがあるのが特徴だ。2014年に買収したライブストリーミング配信プラットフォーム「ツイッチ」からアマゾン・ルナのゲームをプレー・配信することも可能となっている。
先行したグーグルがまさかの苦戦
ゲームのサブスクリプションサービスは、「ニンテンドースイッチ」の任天堂や「プレイステーション」のソニーグループ、「Xbox」のマイクロソフトといった企業が数千万人の会員を抱え、ゲーム機を展開する各社による寡占状態にあった。
そこにグーグルが2019年、アマゾン・ルナと同様のサービス「グーグル・ステイディア」で参入。アマゾンはそれに続いた格好だ。ファミ通グループ代表の林克彦氏は「彼らはクラウドやネットワークインフラ(の事業)を強くしたい。そのために(ソフトの単品販売が前提の)ゲームのビジネスモデルを本気で転換しようとしている」とIT大手の動きを分析する。
これまでも動画やECといったネットサービスを展開し、さまざまな業界でレガシーのプレーヤーたちをなぎ倒してきたグーグルとアマゾン。ただ、ことゲーム事業に関しては、参入早々に雲行きが怪しくなってきている。というのも、グーグル・ステイディアが2021年2月、自社ソフトの開発スタジオを閉鎖すると発表したのだ。
前出の林氏も「(IT大手の)クラウドゲームは、なかなかうまくいっていない」と指摘する。ここから浮かび上がるのは、サービスの競争力を左右するゲームIP(知的財産)の創出における、ゲーム大手が持つ優位性の大きさだ。
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