市場は活況だが、スマホゲーム事業の縮小均衡に走る企業や多角化を急ぐプレーヤーも目立ってきた。
ゲーム産業の勢いが止まらない。
『ファミ通ゲーム白書2021』によると、2020年の国内ゲーム市場は2兆円を突破。2012年から市場規模は約2倍と、急速に成長している。家庭用ゲーム機やPCのほか、スマホでも気軽にゲームが遊べるようになったことなどが奏功し、国内の総ゲーム人口は5000万人を超えた。
ファミ通グループ代表の林克彦氏は「ファミコンで遊んだ世代が、ゲームを好きなまま成長すると同時に、若い世代が入ってきた。昔はアニメやゲームはコアな趣味であったが、今は誰しもが親しむコンテンツになってきている」と市場環境を分析する。
活況の裏で頭を抱える関係者
とくにコロナ禍による巣ごもり需要の恩恵を受けたのが、ゲーム機でのプレーを前提とした家庭用ゲームソフトだ。
例えば任天堂では、2020年に発売した『あつまれどうぶつの森』の累計販売本数が、国内だけで1000万本を記録。1985年の発売以来、同社における家庭用ゲームの国内販売本数トップを死守してきた『スーパーマリオブラザーズ』(681万本)を大きく上回った。カプコンやスクウェア・エニックス・ホールディングス(HD)、コーエーテクモHDなど、2022年3月期に過去最高益をたたき出した家庭用ゲームソフトのメーカーも少なくない。
一方、活況の裏で、あるスマホゲーム企業の関係者は頭を抱える。「一発当たりを狙ってゲームを制作するが、なかなかヒットしない」。一時はゲーム産業を風靡した“ガチャに課金する”といった従来型のスマホゲーム。実は家庭用ゲームとは対照的に、市場において停滞感が漂っているのだ。
スマホゲームが台頭したのは2010年頃のこと。国内では2012年にガンホー・オンライン・エンターテイメントが運営を始めた『パズル&ドラゴンズ(パズドラ)』、2013年にミクシィが開始した『モンスターストライク(モンスト)』といった、ゲームで使用するキャラクターが手に入る「ガチャ」などへの課金収入を稼ぐモデルの“運営課金型”スマホゲームが大ヒットした。
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