ロシアのウクライナ侵攻を巡り、欧州は米国と歩調を合わせて追加制裁を打ち出す構えだ。だが、ロシアが経済を支える方法を見いだしつつある兆しが多く表れている。
ロシア極東産ソコル原油の来月出荷分は完売。中国の数社は3月にロシア産石炭を人民元で購入した。ロシアから欧州に輸出されるガスの量は、侵攻以降に増加した。このいずれもが、制裁の対象とはなっていない。
ブルームバーグ・エコノミクスはロシアがエネルギー輸出で今年上げる収入を約3200億ドル(約40兆円)と予想、前年から3割強増加すると見込む。ロシア・ルーブルはドルに対して戦争前の水準をすでに回復している。
ロシアの原油生産は今月減少しているが、エネルギー輸出で稼ぎ続け通貨を支えている状況は、西側の首脳をいら立たせている。ロシアの孤立は深まり、ロシア軍がウクライナの一部地域から撤退しているとしても、ロシア経済の底堅さはプーチン大統領にとって国内向けに勝利をアピールできる材料になる。
ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローで、欧州中央銀行(ECB)の政策委員だったパトリック・ホノハン氏は6日、「金融などの制裁がロシア経済を弱体化させているのは疑いない」としつつ、「ロシアの輸出から得る収入を断たない限り、制裁がロシア経済をまひさせるには至らない」とブログでの投稿に記した。