デジタルデータに価値をつけることを可能にしたNFTに、あらゆる企業が群がっている。
仮想空間の“土地”が今、高値で売買されている。
アメリカ発のブロックチェーンゲーム『ザ・サンドボックス』の空間には、約1万6000の区画に分かれた「ランド」と呼ばれるNFT(非代替性トークン)の土地があり、この中に建物などを自由につくれる。運営会社は定期的にランドを売り出すが、1分も経たずに売り切れるほどの人気ぶりだ。
NFTは、ブロックチェーン上で画像や動画などのデジタルデータが唯一無二のものと示す証明書の役割を果たす。デジタルの限定品を作成することができ、価値をつけることを可能にした。
NFTマーケットプレースの「オープンシー」では、サンドボックスの土地などアイテムの累計取引額が3月末時点で15.7万イーサ(暗号資産の単位、約630億円)に達する。国内外の企業がこの空間の可能性に注目する。
エイベックスが『仮想テーマパーク』開設
その1つが、大手音楽レーベルのエイベックスだ。傘下のエイベックス・テクノロジーズが3月3日、サンドボックス上の6×6区画の土地を取得。年内にも「エイベックスランド(仮称)」という拠点をつくり、配信ライブやファンイベントを開く方針だ。
土地の取得に合わせ、エイベックスの所有地周辺の土地と、ピコ太郎や浜崎あゆみら4組の所属アーティストをアイコン化したNFTアイテム、初回イベントのチケットをセットにして110組に販売し、総額1.7億円分が1時間ほどで完売したという。
同社の岩永朝陽社長は、「暗号資産の保有者たちにもアーティストを知ってもらう。ファンと一緒に空間をつくり、イベントを企画したりすることで、投げ銭だけではないデジタルのエンタメ文化を育てたい」と意気込む。
国内では、SHIBUYA109エンタテイメントもサンドボックスと提携し、今後土地を取得する予定。独アディダスや米ワーナー・ミュージック・グループなど海外勢の参入も相次いでいる。
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