東京一極集中の是正、地方創生が、重要な政策課題として叫ばれて久しい。しかし、そもそも東京と地方の人口の違い、所得格差、経済活動の違いはどうして生じているのだろうか。
1つの観点が、「産業構造の違い」だ。これに関して従来、経済の供給サイドに着目した研究が多くなされてきたが、筆者は需要サイド、消費の観点から都市の産業構造の新たなパターンを発見した。
33の産業を2つの軸によって比較しプロットしたのが下の図だ。横軸は産業の需要の所得弾力性。消費者の所得が高まれば高まるほどより消費されるような財・サービスの産業が高い値を取る。
例えば、金融・保険産業、娯楽産業などは所得弾力性が高い産業の典型だ。所得が高くなれば保険をかけるものや機会も、映画館や劇場に出かける機会も増えるだろう。また、航空運輸業も所得弾力性が比較的高い。金銭的な余裕が生まれれば飛行機での海外・国内旅行への出費も増えるだろう。
縦軸は雇用シェアの人口弾力性だ。米国の都市圏のデータを基に算出した指標で、端的にいえば、雇用面での各産業の大都市圏への偏り度合いを示している。
この2つの指標には正の関係性が見て取れる。つまり、所得弾力性の高い産業は大都市圏に偏っているのだ。これは日本に暮らすわれわれの実感とも合致するだろう。東京や大阪などの大都市圏は各種金融サービス、映画館、演劇・コンサートが地方に比べて多く、これらの産業で働く人も多い。
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