緊張感が高まるエネルギー地政学、そして脱炭素の潮流。日本の解決策は。
エネルギー危機の中で、「2050年のカーボンニュートラル」を目指す日本。寺島実郎・日本総合研究所会長は「欧米主導のゲームには勝てない」と警告する。
[3つのポイント]
・日本は資源価格高騰の負の影響が大きい
・欧米に振り回されない主体的な戦略を持て
・利害を共有するアジアの国々と連携せよ
──資源価格が急騰しています。
日本がいま気づかなければいけないのは、エネルギー価格の高騰が相当な危険水域に達してきたということだ。原油価格は昨年一時マイナス(先物価格)になったが、足元は1バレル=70~80ドル台になり、そこへ円安が拍車をかけている。12年と比べると3割円安が進行し、円建てベースの原油入着価格は驚くほど高くなっている。
「日本は輸出志向のものづくり国家だから円安のほうが有利だ」というのは工業生産力モデルに埋没した固定観念であり、今や輸入産業の背負う重荷のほうが大きくなった。昨年は食料とエネルギーを18兆円分も輸入しているが、その中でエネルギー危機が間近に迫っている状況だ。
──日本はエネルギー問題にどう向き合うべきでしょうか?
固定観念の中でのエネルギーの議論から、現実的かつ総合的なエネルギー問題への対応に思考をパラダイム転換しないといけない。
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