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「アジアの脱炭素、火力も不可欠」 インタビュー/JERA 社長 小野田聡

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おのだ・さとし 1955年生まれ。80年慶応大学大学院修了、中部電力入社。中部電力副社長・発電カンパニー社長などを経て2019年4月から現職。(撮影:尾形文繁)

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国内最大の火力発電事業者、JERA(ジェラ)(東京電力フュエル&パワーと中部電力の合弁)は事業の脱炭素化にどう取り組むのか。小野田聡社長に話を聞いた。

重要なのはCO2の削減
アンモニア活用進める

──喫緊の課題である脱炭素化への対応方針は。

東電フュエル&パワーや中部電力から火力発電事業などを承継し、JERAが本格的に成立したのは2019年になる。国内最大の発電会社であり、海外に事業展開するグローバル企業だ。温暖化対策には積極的に取り組む必要があると考えた。

20年10月に「JERAゼロエミッション2050」というロードマップを公表し、50年に二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにする取り組みに挑むことを決めた。火力発電にアンモニアや水素を混ぜ、最終的には専焼化する。

──10月から碧南(へきなん)火力発電所でアンモニア混焼の実証が始まりました。

石炭とアンモニアでは燃焼スピードも違う。生成される窒素酸化物(NOX)を現在の脱硝設備で除去できるのかなど実機試験が重要だ。実証が進展し、アンモニア20%の混焼が可能だと確認できれば、水平展開も可能になる。

仮に碧南4、5号機(ともに石炭、出力100万キロワット)が20%で混焼を行うとすると、アンモニアは年間100万トン必要だ。これは現在、主に肥料用として国内で使用されているアンモニアと同量で、大量のアンモニアが必要になる。

安定調達に向けてノルウェーの肥料メーカー、ヤラ・インターナショナルやアブダビ国営石油など多様な企業との協業を進めているところだ。

──一方で、欧州を中心に石炭火力発電自体を早期にやめるべきだとの指摘もあります。

化石燃料の使用をやめて代わりに再生可能エネルギーを使おうというのは1つの手法だ。ただ、脱炭素という山頂に登る道はいくつもある。アジアは欧州に比べて風況がよくないし、日照時間も短く、雨も多い。送電網も整備途上だ。欧州のようにすぐに再エネに切り替えられない固有の事情がある。

再エネはもちろん増やしていくが、変動する再エネの出力を調整するのは火力しかない。脱炭素はCO2を減らすことであって火力発電設備を廃止することではない。調整力として必要な設備だからアンモニアや水素を活用しようというのが、欧州型とは違う道としてあると思う。

──フィリピンの大手電力、アボイティス・パワーへ約15.8億ドル(約1780億円)を出資しました。狙いは。

アボイティスはエネルギートランジションに挑もうという強い決意を持っている会社だ。現在、460万キロワットの設備を有しており、約6割は石炭火力だが、安定供給を保ちながら脱炭素への取り組みを進めようとしている。これから再エネを370万キロワット、天然ガス火力を100万キロワット増やす方針だ。

当社のLNG(液化天然ガス)調達力などさまざまなところで支援できると思う。アジアの国々の発展について当社でできることはお手伝いしていきたい。

(聞き手 大塚隆史)

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