「エネルギー基本計画」を採点するなら、40点だ。2030年度の電源構成を示したことが「亡国のミックス(構成)」となっている。あれがなければ合格点だった。
将来の見通しをつくること自体は悪くない。日本は資源小国だから、長期見通しがないと企業も投資しにくいのだから。ただ、30年度はたった8年先のことだ。そんな近い将来に発電所を造る計画は元から立てられない。つくるべきなのは30年度のミックスではなく、50年の目標だ。
30年度の見通しを出すとしても、50年に温室効果ガスゼロというあるべき姿からバックキャスト(逆算)してつくるべきだった。エネ基の議論も最初はそんなやり方で順調に進んでいた。当時は30年度の再エネ比率30%という想定で、温室効果ガス削減は40%弱程度だったと思う。
ところが4月22日、政府から突然30年度に46%削減という宣言が降ってきた。現場は混乱し、そのあと予定されていた分科会は8回にわたってキャンセルされた。議論もなく出てきたのが今のエネ基の電源ミックスだ。資源エネルギー庁は一生懸命再エネの数字を積み上げたけれども、帳尻合わせのおかしなミックスができてしまった。
産業縮小という禁じ手
再エネを増やすにも限界があるし、原子力もかなり厳しい。結局、分母に当たる総電力需要を減らすことで火力発電の比率を下げるという禁断のシナリオに手をつけてしまった。電化が進めば電力需要は増えるけれども、エネ基では30年度に10%減ってしまう。さらに言えば50年には今よりも30〜50%増えるというおかしな話になっている。
国の政策として経済成長していこうというときに、こんなつじつま合わせをしていていいのか。日本の産業に「国外に出ていっていい」というお墨付きを与えてしまう。
分母を減らしたことで、LNG(液化天然ガス)の調達にも悪影響を与えている。必要な絶対量が減ってしまうので、「今後、日本は買わなくなる」という話が広まった。中国や韓国が世界中で買いあさっている中で、日本勢は確実に買い負けている。これが30年度のミックスをつくったことによるいちばんのダメージだ。
「50年のカーボンニュートラル」と「30年度の温室効果ガス46%減」を打ち出したことは正しい。菅義偉前政権の業績として評価できる。ただ、30年度の電源構成は、総選挙を前に河野太郎規制改革担当相(当時)とエネ庁との間で綱引きがあったのではないか。
主導権を渡したくないエネ庁が無理につくってしまった。政治の歪みが、国益に反する事態を生んでしまった。
(聞き手 高橋玲央)






















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