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「脱炭素で事業変革、2兆円を投じる」 インタビュー/三菱商事 社長 垣内威彦

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かきうち・たけひこ 1955年、兵庫県生まれ。79年京都大学卒業、三菱商事入社。飼料・畜産の営業畑を歩む。2013年、常務執行役員・生活産業グループCEO。16年から現職。(撮影:佐々木 仁)

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資源の安定供給に深く携わってきた商社のトップは、エネルギー市場の激変をどう見るか。三菱商事の垣内威彦社長を直撃した。

「エネルギーの『移行期』 天然ガス活用が重要に」

──エネルギー移行期に資源価格が高騰しています。

世界的に再生可能エネルギーの比率が増えてきているのは明らかだ。再エネは天候によって出力が変動する電源で、猛暑や厳冬といった事情で需要が変化すれば、需給が不安定になりやすい。

エネルギーの移行期には、どうしてもこうした不安定感が生じる。その結果、資源や電力の価格上昇につながる。移行期の局面でエネルギーを安定供給するためには、天然ガスやLNG(液化天然ガス)を活用するほかない。とくに日本ではそうだ。

(脱化石燃料の)流れに逆行するようだが、われわれは局面に応じてLNGの増産や再投資をする覚悟があると、10月に公表した「カーボンニュートラル社会へのロードマップ」の中で示した。安定供給に必要ならば、こそこそ黙ってやるのではなく腹をくくって実行しようと決断した。

長期で見たときに究極のエネルギーは何か。例えば、水素やアンモニアが挙げられるが、どちらももとになる素材は天然ガスだ。

CO2(二酸化炭素)を分離・回収したうえで、天然ガスから比較的安価なブルー水素・ブルーアンモニアが製造される。つまり、天然ガスはつなぎのエネルギーとして、長期にわたって生き残る宿命を背負った燃料になる。

──一方、再エネにも投資を加速する計画です。

2030年度までにエネルギートランスフォーメーション(EX)関連投資に2兆円を投じる。このうち、約半分ほどは風力を中心とする再エネに投資し、再エネの持ち分容量を660万キロワットに倍増する計画だ。発電機の大型化が進む風力はまだまだコストダウンを図れる。

資源についても次世代で必要とされる競争力の高い案件には力を入れていきたい。一般炭権益を売却し、電化に欠かせない銅などへ資産の入れ替えを進めてきた。22年度にはペルーのケジャベコ銅鉱山が生産を開始する。

──脱炭素はピンチとチャンスどちらですか。

当社は50年にGHG(温室効果ガス)排出量をネット(実質)ゼロにする方針を掲げており、全社を挙げて実現に取り組んでいる。

今後、自らカーボンニュートラルを達成できない企業は、未達となるGHG排出量分の炭素クレジットを購入しなさいという仕組みが導入される可能性がある。当社のGHG排出量(20年度)は2530万トン。仮に炭素クレジットが1トン当たり150ドルかかる前提なら、金額は約38億ドル(約4300億円)にも上る。早めに手を打って再エネを推進していくことが重要だ。

脱炭素の移行期に、単純にエネルギーを置き換えるだけというのは原始的な発想。AI(人工知能)やデジタル化といったイノベーションを組み合わせ、省エネなどにつなげることも重要だ。それが企業価値を高めることにもつながる。

(聞き手 大塚隆史)

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