ヨーロッパを襲ったガス・電力の高騰は、市民の生活を圧迫するだけでなく、原子力政策や脱化石燃料をめぐる議論にまで発展しつつある。
ヨーロッパが先導してきた脱炭素の議論に、エネルギー危機が影を落とそうとしている。
ドイツではガス販売会社98社が12月までにガスの小売価格を平均17.3%引き上げる方針を発表した。年間のガス料金を、2倍超に値上げする販売会社も現れ、冬場の市民生活に大きな影響を及ぼそうとしている。
価格が高騰しているのはガスだけではない。
9月の1リットル当たりのガソリン価格は162セントと1年で約27%上昇したほか、電力の卸売価格も2020年5月に1MWh当たり17.6ユーロだったのが、2021年9月に一時128.34ユーロに急騰。8月以降、電力販売会社26社は年間の電力料金を平均9.3%引き上げると発表した。
ガス・電気差し止めの家庭続出も?
ドイツ消費者保護団体連合会のクラウス・ミュラー会長は、「エネルギー価格の高騰は低所得層にとって大きな負担だ。料金滞納により、ガスや電力を止められる家庭が現れるだろう」と警告する。ドイツの電力・ガス会社は、滞納額が100ユーロ(1万3000円)を超えた場合、電力・ガスの供給を止めることができるためだ。
家計支出も増えるクリスマスシーズンを前に市民に降りかかった危機は、いったい何が引き金だったのか。
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