新手法「デマンドレスポンス」は電力危機を救うか 節電量に応じてポイント付与、電力会社も利点

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電力不足が懸念される中、デマンドレスポンスという新たな節電手法が注目されている。この手法を採用する電力会社は一部にとどまっていたが、関心を持つ電力会社が増えつつある。

東京電力エナジーパートナーはホームページで節電を呼びかけている(東京電力エナジーパートナー提供)

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猛暑や厳冬のたびに電力不足が心配されるなか、「デマンドレスポンス」という新たな節電手法が注目されている。

季節外れの寒波襲来で電力の需給逼迫警報が発令された3月22日、ソフトバンク系の電力会社であるSBパワーがデマンドレスポンスを活用した節電を電力ユーザーに呼びかけ、約16万世帯が参加した。非参加者と比べて参加者は約10%の節電効果(電力使用量の約10%削減)を挙げた。

東京ガスは2021年8~9月および同年12月から2022年2月にかけて実証事業としてデマンドレスポンスを実施。延べ約7万8000世帯が参加した。今夏は東京電力エナジーパートナー(東電EP)など大手電力会社も新たに参加者を募集しており、東電EPでは7~9月の3カ月間で延べ45万世帯の参加を見込んでいる。

ITを活用した新たな仕組み

デマンドレスポンスとはどのようなやり方なのだろうか。

電力会社(小売電気事業者)によって異なるが、スマートフォンのアプリをダウンロードして会員登録し、参加する方法と、ホームページを通じて会員登録して参加する方法がある。あらかじめ会員登録したユーザーには、電力会社が翌日の需要を予測したうえで、必要な時間帯について節電の要請をする。

例えば翌日16時~19時に電力需要の急増が予想される場合、電力会社はユーザーに対してその前日の夕方にデマンドレスポンスへの参加を要請する(スマホ画面にプッシュ通知として送られてくる場合と、登録しておいたメールアドレスにメッセージが送られてくる場合がある)。

ここで希望するユーザーはデマンドレスポンスへの参加を申し込んだうえで、当日の該当する時間にエアコンの設定温度を上げたり、不要な電灯を消すなどして節電に取り組む。電力会社があらかじめ設定している「ベースライン」の水準よりも電力消費が少なかった場合に節電成功と判断、ポイントを獲得することができる。

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