資源急騰、市場は「来年反落」見込むも残るリスク アメリカ・CMEグループのエコノミストに聞く

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世界で同時多発しているエネルギー価格の上昇。経済への影響はどこまで広がるのか。

エネルギー価格の上昇は、日本、そして世界経済にどこまで影響を与えるのか(編集部撮影)

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天然ガスや原油、石炭などのエネルギー価格が急騰している。価格上昇はいつまで続き、日本を含め、世界経済にどう影響するのか。
世界最大級のデリバティブ・コモディティ取引所などを運営する、アメリカのCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)グループのエグゼクティブ・ディレクター兼シニアエコノミストを務めるエリック・ノーランド氏に、今後の見通しを聞いた。

――エネルギー価格の高騰が世界経済に大きな影響を与えています。

影響が相対的に大きいのは、日本を含めたエネルギーの輸入国だ。アジアでは韓国も大きな影響を受けている。中国は石炭の大産出国だが、石油や天然ガスなどエネルギーの輸入が多く、影響はやはり大きい。インドはとくに石炭上昇による打撃を受けている。

ヨーロッパの大半の国々も同様だ。イギリスやアイルランドなどは天然ガスの供給不足で電気代が高騰している。例外は、電力の約4分の3を原子力で賄うフランスや、天然ガスの輸出国であるノルウェーなど数少ない。

アメリカは石炭の自給国で、天然ガスはすべて自給し、輸出もしている。北米の天然ガス価格はヨーロッパやアジアの価格の7分の1程度(11月10日時点)で、さほど上がっていない。アメリカのほか、オーストラリアやロシア、カタール、アルジェリアといった少数の天然ガス輸出国が恩恵を受けている。

市場は2022年以降の反落を見込む

資源価格の上昇は、日米金融政策の違いとともに円安ドル高の一因にもなっている。

アジアのLNG(液化天然ガス)スポット価格は年初に比べ約3倍に上昇し、石炭価格も2倍以上に上昇した。日本では発電の76%が化石燃料で賄われており、影響はとくに大きい。新たな税金を課しているようなもので、しかも「税金」は海外のエネルギー供給者の懐に入る。結果的に日本経済の下押し要因となり、通貨安の原因となっている。

――日本では、円安がさらなるエネルギーの輸入コストの増大を招いています。

エネルギー価格の上昇は短期的に日本経済の懸念材料となるが、いつまでも続くものではない。石炭価格の高騰はインドや中国の在庫水準の低さが一因しているが、いずれ正常化するはずだ。

天然ガスも世界的に生産が増え、アメリカもLNGの輸出を増やすと見られる。基本的に日本経済の先行きはかなり楽観的に見ている。

――資源価格の高騰はいつ落ち着くのでしょうか。

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