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寺島実郎が警告「日本は主体的エネルギー戦略を」 エネルギー危機が迫る「根拠なき熱狂」の脱却

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緊張感が高まるエネルギー地政学、そして脱炭素の潮流。日本に解決策はあるのか。

寺島実郎氏は「このままでは日本がいちばんエネルギー危機の余波を受けかねない」と警鐘を鳴らす(撮影:尾形文繁)

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天然ガスや石炭などが高騰し、ヨーロッパや中国をはじめ世界各地で混乱が広まっている。エネルギー危機の影響を受けるのは、資源の大半を輸入に依存する日本も当然例外ではない。

新たなエネルギー秩序の下、どう資源を安定供給していくことが必要なのか。「2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出実質ゼロ)」を進める日本のエネルギー戦略について、日本総合研究所会長の寺島実郎氏は「欧米主導のゲームには勝てない」と警告する。

日本人は数字に覚悟を持て

――ガスや石炭などの資源価格が急騰しています。

日本がいま気づかなければいけないのは、エネルギー価格の高騰が相当な危険水域に達してきたということだ。

原油価格は2020年に一時マイナス(先物価格)になったが、足元は1バレル=70~80ドル台になり、そこへ円安が拍車をかけている。2012年と比べると3割円安が進行し、円建てベースの原油入着価格は驚くほど高くなっている。

「日本は輸出志向のものづくり国家だから円安のほうが有利だ」というのは、工業生産力モデルに埋没した固定観念であり、今や輸入産業の背負う重荷のほうが大きくなった。2020年は食料とエネルギーで18兆円も輸入している。その中でエネルギー危機が間近に迫っている状況だ。

――では、日本はエネルギー問題にどう向き合うべきでしょうか?

固定観念の中でのエネルギーの議論から、現実的かつ総合的なエネルギー問題への対応に思考をパラダイム転換しないといけない。そのポイントとなるのが、今回閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」(以下、エネ基)だ。

【キーワード解説】

第6次エネルギー基本計画

エネルギー政策基本法に基づき政府が策定する計画。LNGや原子力、再生可能エネルギーなどの中長期的な電源構成を示す。第6次計画はCOP26を控えた10月22日に閣議決定され、火力発電を縮小する一方、再エネ比率が大幅に引き上げられた。

3.11以降の10年間、日本では脱原子力、再生可能エネルギー重視という一定の方向感が語られ続けてきた。さらに、菅義偉前首相が「2050年のカーボンニュートラル」と、「2030年度の温室効果ガスの排出量46%削減(2013年度比)」の方針を打ち出した。

本来は経済産業省が主体となってエネ基を決めるはずなのに、官邸主導の数字が先行し、結論ありきで今回のエネ基がまとめられた。私は「日本人はこの数字が持つ意味に覚悟して向き合わないといけない」と何度も(エネ基見直しを議論する)委員会で発言してきた。

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