事業承継型M&Aで中小企業を傘下に収め経営改善。上場を契機に買収加速へ。

2人の創業者、髙村会長(右)と竹内社長。名古屋市の本社オフィスに個室はなく、社員と席を並べる
後継者不在の中小企業は全国に約130万社あるといわれる。しかし、事業売却への抵抗感は強く、事業承継が盛り上がっているとはいいがたい。
そこで中小企業庁は2029年までに現在の20倍の規模、年間6万件までM&A(合併・買収)件数を伸ばそうと、さまざまな税制上の優遇措置を講じている。つまり、「中小企業のM&A」は国策に乗った成長産業ということもできる。
6月24日に東証マザーズに新規上場したセレンディップ・ホールディングス(HD)は、その波にいち早く乗った成長企業だ。中小企業、中でも部品メーカーの事業承継にターゲットを絞った事業投資会社である。
これまでにセレンディップが傘下に収めた中小企業は3社。14年から18年にかけて、天竜精機(自動化装置)、佐藤工業(オートマチック部品、自動車精密部品)、三井屋工業(自動車内外装部品)を買収した。3社とも取引先に恵まれており、セレンディップの前21年3月期売上高144億円のうち、アイシン、トヨタ自動車、豊田自動織機向けが6割を占める。
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