モノ言う株主との対立の末、CEO辞任に追い込まれた車谷暢昭氏。何が問題だったのか。電機業界を長く分析してきた若林秀樹・東京理科大教授に聞いた。
──車谷氏辞任と、ファンドによる買収騒動。背景をどうみますか。
車谷氏はモノ言う株主との対立が深まったことに加え、自らに対する社内の信任が低かったことで、ウルトラCとして自分の古巣であるCVCに頼んだとされる。ただ、そもそもファンドが東芝の買収を検討できる前提条件として3月末に報道されたキオクシアホールディングスの買収観測があったのではないか。仮にキオクシアが3兆円で買収されるのであれば、株式を4割持つ東芝には利益となる。ファンドにとっての狙いはキオクシアだろう。
──モノ言う株主と対立した車谷氏に問題はなかったのでしょうか。
株主というのはモノを言うのが当然。車谷氏はそれをけむたがって真摯な議論をしてこなかったのではないか。私の印象論ではあるが、ファンドは中長期の成長より短期の株主還元だけを求める、という偏見があったのではないか。
決定的だったのは東芝ならではの成長戦略を打ち出せなかったこと。彼が経営トップとして行ったのはリストラばかり。それはプロ経営者ならできる。多くの株主は東芝の成長に期待して投資している。その道筋が示せないなら株主還元しろ、という話になる。
さらに、(筆頭株主の)エフィッシモにしても、すべて自らの資金で運用しているわけではなく、そこに投資している年金基金などの株主がいる。つまりモノ言う株主にも説明責任がある。車谷氏は、そこまで見据えて対話できていなかったのではないか。
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