東海の中堅スーパー「バロー」が快進撃、強さを支えるPB商品の破壊力

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実は58円おにぎりは製造コストを引き下げるため、のりを巻いていない。その代わり、白いご飯ではなく、五目ご飯など色のついたご飯を使うことで、お客の目を引き付けている。おにぎり購入者の6割程度はこの商品を選んでいるという。

陳列にも気を配っている。18円コロッケの横には58円など必ず数十円高いコロッケも並べている。18円コロッケと一緒に58円のコロッケを購入するお客は多い。結局、18円コロッケはそれが単独で売れるというだけでなく、他の商品購入の呼び水にもなっているのだ。コロッケのカテゴリー全体が活性化することになり採算にもプラスに働く。

PBは1000が限度 出店と外販がカギ

ただ、今後、サプライズ商品のアイテム数は200品目を大きく超えることはないという。PB商品全体でもアイテム数は増やさず、1000品目のレベルを維持していく考え。PBはあくまでナショナルブランド(NB)商品との併売が基本であるためだ。食パン、牛乳、調味料……。バローの店舗ではPB商品の横に必ず、数十円、数百円高いNB商品が陳列されている。

日本の消費者の場合、PB商品に対する抵抗感がなくなったとはいえ、NB商品への信頼感は依然として高い。PB商品で世界を席巻するウォルマート・ストアーズが日本を攻略できないのはそれが理由といわれる。

「何でもかんでもPBにしてしまうと売り場が悪くなる。PBとNBを比較して、商品を購入してもらいたいというのが、われわれの考え方。だから、1000という品目をキープしていくのがよい」(森啓輔PB商品企画室マネージャー)。PB商品でライバルたちを圧倒する当事者こそ、またその限界も察しているのである。

もちろん、PBの品目数を増やさなくても、大量発注や生産で事業を拡大させることはできる。従来、バローは食品スーパーの出店を年間10店程度にしてきたが、2011年3月期は17店へ増やす(下図)。5年間で80店の出店を考えている。出店拡大でPB事業の規模も膨らむことになる。

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