コロナ対策の金融・財政拡張でもデフレは続く 【インタビュー】みずほ証券 上野泰也チーフマーケットエコノミスト

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うえの・やすなり/上智大学文学部史学科卒業、法学部法律学科に学士入学後、国家公務員I種(行政職)にトップ合格したため中退。1986年会計検査院入庁。富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券などを経て2000年10月から現職(撮影:尾形文繁)

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インフレを見通す会田氏に対して、デフレ派の代表ともいえるみずほ証券金融市場調査部チーフマーケットエコノミストの上野氏。供給・需要の実体経済面の分析を中心に今後のシナリオを語る。

デジタル化は最も大きなデフレ要因

──長年、経済のデフレ的な傾向を論じてきましたが、コロナ後の世界もこの傾向は変わらないと予測していますね。

コロナ以前からの経済構造として、デフレの要因は大きく2つある。グローバル化とデジタル化だ。グローバル化では、国境を越えて安い賃金がどんどん活用され、その結果、先進国でのインフレ率抑制が続いていた。

もう一つのデジタル化は、もっと影響力の大きな話だ。AI(人工知能)に代表される先端ITやロボットの活用拡大が雇用を脅かしている。経済が順調だったドイツの春闘でも、賃上げよりも雇用保障に労働者の関心が集まっている。賃金上昇圧力が高まらなければ、人件費が大宗を占めるサービスの価格は抑制され、結果、その影響が大きい消費者物価指数(CPI)もなかなか上がらないだろう。

デジタル化により、販売価格の最も安いお店を全国ベースで探すことも極めて容易になった。誰もがオンラインで手軽に注文し、宅配便で商品を受け取るという時代だ。当然、価格は安い方向へと収斂していく。

──日本は欧米よりさらにデフレ傾向が強いですね。

人口減少により、長期的に見れば、日本の国内需要は縮小方向だ。1990年代後半がピークだった。供給サイドでは、政府の企業支援策もあり、ゾンビ企業が生きながらえる傾向にある。過剰供給能力は温存され、中長期的な需給の緩みがデフレ圧力につながってくる。

──こうした状況は、コロナ禍によってどう変わるのでしょうか。

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