まるで違うコロナ禍の経済見通し 【総論】あなたはどちらのシナリオを信じる?

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コロナ後の経済は、インフレになるのか、はたまたデフレが続くのか。これは、あらゆる金融・経済領域に影響を与える一大テーマだ。

たとえば、投資家は、将来をインフレと想定するなら、金利の上昇を考慮した運用資産配分を行う必要があるし、一般にインフレに強い株式や不動産、金(ゴールド)などの資産を一段と選好するだろう。逆に、低インフレやデフレの想定であれば、インフレヘッジの必要はない一方、稀少となる将来の高利回り資産や個別株式銘柄を丹念に探していく必要がある。

またインフレか、デフレかによって、借入主体としては利払い費用に大きな影響を受ける。そのため、将来の一般物価を予想することは、企業の財務戦略や政府の財政運営、そして家計のやりくりとしても無視できないテーマだ。

労働・所得環境も大きく変化する

そして、そうした将来へ予測自体が、現在の実質金利を変化させたり、企業や家計の行動に影響を与えたりして、景気の変化に結びついていく。実際にインフレになるか、デフレになるかによって、われわれの労働・所得環境も大きく変化するのは、言うまでもないだろう。

目下、マーケットでは、インフレとデフレの双方の見通しが並立している。

新型コロナウイルスの終息自体がいつになるのか不透明なうえ、人々の行動様式や経済構造の変容、政府の財政出動の効果と持続性なども不確かなため、将来の経済見通しに大きな見方の違いが生じている。

本連載では、2人の人気エコノミストに今後の経済がインフレ、デフレのどちらに至りうるかを解説してもらった。それぞれの論点を簡潔に整理すれば、下記のようになる。共通認識もあれば、見方がまったく異なる部分もある。

インフレ派の代表としては、「資金需要」を核とした分析で知られるソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミスト、デフレ派の代表では、的確な経済・市場分析で評価の高いみずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストに、それぞれ話を聞いた。

さらに、米中デカップリングの影響やコロナ終息後の国際政治・通貨体制の見通しなどについても語ってもらっている。投資家やビジネスパーソンなど幅広い層にとって参考になるはずだ。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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