新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、EU加盟国は苦境に立たされている。とはいえ、マクロ経済の観点から見ると、ヨーロッパの経済政策対応はこれまでのところ望みを与えてくれるものとなっている。持続的な成長、地域の結束、経済の安定に向けた、強い刺激策が含まれているからだ。
ヨーロッパでは各国政府は、この危機に対応した前例のない財政措置を講じることを約束している。そして、これと同じくらい重要なこととして、市場もこれらの財政措置を適切なものと捉えているようだ。ポルトガルとイタリアによる最近のソブリン債売り出しでは、金利が低く抑えられ、おおむね応募超過であった。
過去の危機のような混乱は起きていない
ヨーロッパ全体でみても、ソブリン債利回りは2019年末と同水準にある。ヨーロッパの特定国の債券においてスプレッドやクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格設定が拡大したものの、世界金融危機など、以前の危機と同じようなレベルではない。言い換えると、ヨーロッパの経済市場の分断は2009年や2012年の危機よりもはるかに抑え込まれている。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら