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『GLOBOTICS グローバル化+ロボット化がもたらす大激変』 『この社会で働くのはなぜ苦しいのか』ほか

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速すぎる国際化と技術革新、政策的な速度調整の必要も
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

『GLOBOTICS グローバル化+ロボット化がもたらす大激変』リチャード・ボールドウィン 著/高遠裕子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] Richard Baldwin/ジュネーブ高等国際問題・開発研究所教授。米マサチューセッツ工科大Ph.D.。ブッシュ(父)政権で大統領経済諮問委員会シニア・エコノミストとしてウルグアイ・ラウンド、日米間の貿易交渉を担当。前著『世界経済 大いなる収斂』は諸紙・諸雑誌の2016年ベストブックに。

著者は貿易論の世界的権威で、自由貿易や技術革新の重要性を長く主張してきた。しかし、本書では、場合によっては、グローバル化とロボット化の速度を政策的に遅らせる必要があると、自説を変えている。

歴史を振り返ると、人類は第1の大転換で、農業社会から工業社会に移行した。18世紀後半に蒸気機関による大量生産が始まり、19世紀前半には大量輸送でグローバル化が進展した。この間、19世紀初頭には機械打ち壊し運動などの反動が生じ、経済格差がピークに達した20世紀前半には、共産主義や全体主義の挑戦を受けたが、社会保障の導入などで資本主義は延命した。

第2の大転換は1970年代に始まるサービス経済化だ。数値制御など自動化で製造業の現場から労働者が消えていくと同時に所得再分配の弱体化も始まる。90年代後半以降は、IT化も加わり、自動化の加速とともに、生産拠点の新興国シフトが始まった。2016年の米大統領選では、製造業で良好な仕事を失った人々がトランプ氏に投票した。

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