デジタル製品の過剰使用は依存症か生活様式の変化か
評者・スクウェイブ代表 黒須 豊
「ジョブズと“売人”に共通する教え」という強烈なフレーズから本書はスタートする。その教えとは「自分の商品でハイになるな」。ジョブズはiPadなどを売りながら、自分の子供にはその利用を制限していたという。ジョブズに限らずIT業界の大物たちは似たようなルールを取り入れているという。
著者は、子供にとってiPadなどのデジタルデバイスを使用することが、麻薬と同じくらい危険なことだと主張する。進化した最新テクノロジーを駆使したデバイスは過剰使用となりがちで、依存症になるというのだ。
ここで著者が問題にしているのは、iPadなどの特定の製品に対する依存よりも、行動に対する新しい依存症、すなわち「行動嗜癖(しへき)」についてである。
iPadをさまざまな用途に利用することでユーザーは喜びを得る。“いいね”ボタンを押さずにはいられない、運動系のモバイルデバイスを身に着けて時間を見つけては運動しないと気がすまないなど人それぞれだが、いずれにしても、以前は存在しなかったテクノロジーに依拠した行動嗜癖である。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待