人手不足は緩和されるが、所得二極化をどう防ぐか
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
先進国では、AIなどの新技術や移民への政治的反発が強い。職を奪われるとの懸念からだ。例外は人手不足が最大の問題である日本。むしろ歓迎ムードが強く、事実上の移民解禁となる特定技能制度への反対もそれほど大きくなかった。
移民やAIは日本経済の救世主となるか。それとも職を奪う大きな脅威となるのか。生産年齢人口の減少が金融政策の有効性を損なってきたと考える、中央銀行論の第一人者が日本社会の来るべき変容を論じた興味深い1冊だ。頭の整理に大いに役立つ。
少子高齢化の影響で、生産年齢人口は年50万人程度減少すると予測されていたが、現在、外国人労働者が年20万人弱流入している。仮に出生率が急上昇しても、出産可能年齢の人口が減少しているため、人口回復には長い年月を要するが、外国人労働者が現状ペースで増え続ければ、労働力減少はかなり和らぐ。
人手不足が和らいでも、生産性の低い労働力が増えるだけなら、一国の豊かさにはつながらないという懸念もある。著者は、介護離職は年9万人程度まで増えているので、介護人材を海外から確保できれば、生産性の高い日本の労働力を補完し、一国の生産性上昇に寄与すると論じる。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待