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『移民とAIは日本を変えるか』 『日本近現代史講義』ほか

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人手不足は緩和されるが、所得二極化をどう防ぐか
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

『移民とAIは日本を変えるか』翁 邦雄 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile]おきな・くにお/1951年生まれ。74年東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。83年米シカゴ大学でPh.D.取得。金融研究所長などを経て2006年中央大学研究開発機構教授。現在、京都大学公共政策大学院名誉フェロー。『金融政策』など著書多数。『経済の大転換と日本銀行』で石橋湛山賞受賞。

先進国では、AIなどの新技術や移民への政治的反発が強い。職を奪われるとの懸念からだ。例外は人手不足が最大の問題である日本。むしろ歓迎ムードが強く、事実上の移民解禁となる特定技能制度への反対もそれほど大きくなかった。

移民やAIは日本経済の救世主となるか。それとも職を奪う大きな脅威となるのか。生産年齢人口の減少が金融政策の有効性を損なってきたと考える、中央銀行論の第一人者が日本社会の来るべき変容を論じた興味深い1冊だ。頭の整理に大いに役立つ。

少子高齢化の影響で、生産年齢人口は年50万人程度減少すると予測されていたが、現在、外国人労働者が年20万人弱流入している。仮に出生率が急上昇しても、出産可能年齢の人口が減少しているため、人口回復には長い年月を要するが、外国人労働者が現状ペースで増え続ければ、労働力減少はかなり和らぐ。

人手不足が和らいでも、生産性の低い労働力が増えるだけなら、一国の豊かさにはつながらないという懸念もある。著者は、介護離職は年9万人程度まで増えているので、介護人材を海外から確保できれば、生産性の高い日本の労働力を補完し、一国の生産性上昇に寄与すると論じる。

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