早稲田大学 人間科学学術院 教授 永島 計氏に聞く 『40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか 体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術』を書いた

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ながしま・けい 1960年生まれ。85年京都府立医科大学医学部医学科卒業、95年同大学大学院医学研究科(生理系)修了。同大学附属病院研修医、米イェール大学医学部ピアス研究所ポスドク研究員などを経て現職。専門は生理学、とくに体温・体液の調節機構の解明。(撮影:梅谷秀司)

猛暑の中で増える熱中症、その原因は気温だけではない

ピークは過ぎたようだが、暑さ寒さも彼岸まで、まだまだ注意が必要だ。ポイントは気温を絶対視しないこと。気温は体温に影響する1つの因子でしかない。医学生のときから30年、体温の研究にはまってしまった医師に聞く。

40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか―体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術 (DOJIN選書)
40℃超えの日本列島でヒトは生きていけるのか―体温の科学から学ぶ猛暑のサバイバル術 (永島 計 著/DOJIN選書/1600円+税/198ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──体温調節の専門器官はないと聞き、虚を突かれる思いです。

体温調節は借り物レースです。暑いと皮膚血管が拡張したり、寒いと震えることで筋肉を使ったり、また褐色脂肪という熱を生む脂肪を使ったり。発汗もそうです。

──汗は専門器官化しつつある?

そうですね、ここまで体温調節に使っているのは人間だけです。ただ、汗の本業は滑り止め。ほかも、皮膚血管は循環、筋肉は運動とみんな本業があります。それらが、体温調節にも使われるようになった。これほど多くの器官、臓器を使って調節する体の機能はありません。しかも、極めて細かく調節されている。例えば、血圧は変動が大きく、高血圧の場合、服薬が必要ですが、体温調節で薬を飲む人はまれです。

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