国立がん研究センター がん統計・総合解析研究部長 片野田耕太氏に聞く 『本当のたばこの話をしよう 毒なのか薬なのか』を書いた

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かたのだ・こうた 1970年大阪生まれ。東京大学法学部を卒業後、同大学院医学系研究科へ。2002年博士課程修了、05年から旧国立がんセンター研究員となりたばこの健康影響とがんの統計の分野の研究に従事、17年から現職。16年の「たばこ白書」(厚生労働省)の編集責任者。(撮影:梅谷秀司)

屋内全面禁煙が世界標準。日本はここでもガラパゴス

吸う人も吸わない人も感情論から発言してしまい、何かと炎上しがちなたばこをめぐる議論。「本当の」話を聞いてみよう。

本当のたばこの話をしよう  毒なのか薬なのか
本当のたばこの話をしよう 毒なのか薬なのか(片野田耕太 著/日本評論社/1600円+税/229ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──「本当の」は、「科学的な」という意味ですね。

愛煙派、嫌煙派という立場を離れ、科学的な視点を貫きました。もう1つ、世界のたばこ産業が、いかに科学を歪める働きかけをしてきたかを知ってもらう、ということも「本当の」に込めています。

──受動喫煙の健康被害を日本人が最初に指摘したんですね。

平山雄(たけし)先生が1965年に26万人超へアンケートを実施し、家庭内の受動喫煙者を推定、14年間追跡調査しました。81年に受動喫煙のある女性の肺がん死亡率が受動喫煙のない女性のそれの1.3倍、夫の喫煙量が多いほど死亡率が高いと論文にまとめています。

当時の日本はどこでも喫煙できる社会で、平山論文はバッシングを受けました。ただ、研究者は地道な検証を続けて、2004年に国際がん研究機関が受動喫煙は「ヒトに対し発がん性がある」とし、06年には米政府の公衆衛生総監が、肺がんをはじめ複数の疾病との因果関係があると判定、海外で受動喫煙問題は決着済みです。

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