「エネルギーシフト」が奔流となって経済や社会をのみ込もうとしている。日本の大手企業も再生可能エネルギーの調達に本腰を入れ、「脱炭素経営」に舵を切り始めた。生き残りのカギは何か。
脱炭素経営に向けて動き出す日本企業
「人間は小さなことに対しては敏感であるが、大きなことに対してはひどく鈍感なものである。これこそは、人間の奇妙な倒錯のしるしである」(パスカル『パンセ』断章198 鹿島茂訳)
地球温暖化(気候変動)の原因物質とされる二酸化炭素(CO2)の大気中の濃度が、観測開始以来、最高記録を更新し続けている。
気象庁によれば、岩手県大船渡市など国内3カ所の地上観測点における2018年の平均値はそれぞれ409~412ppmに達した。観測を始めてわずか31年で17%もの上昇だ。
気がつかぬ間に進行するCO2濃度の上昇は、気温上昇を通じ、私たちの生活に重大な影響を及ぼしつつある。北極や南極の海氷や氷河が消失して平均海面が上昇すれば、都市の多くが水没する。洪水や干ばつなどの異常気象が頻発し、食糧難が起きる。多数の難民が発生し、すでに戦争の原因にもなっている。
濃度換算で約160ppmに相当する産業革命以降のCO2増大のほとんどが、人間の活動によるものだとされている。その多くが、石炭や石油などの化石燃料を燃やすことで生じている。電力もその多くは化石燃料由来だ。すなわち、エネルギー消費のあり方を見直さない限り、地球温暖化に歯止めをかけることはできない。
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