2022年末までの脱原発に加えて38年末までの脱石炭も決断したドイツ。莫大なコストをかけてでも突き進む姿は日本にとってひとごとではない。
今年1月26日、ドイツ政府の「脱石炭に関する諮問委員会」が、7カ月にわたる協議の末、278ページに及ぶ最終報告書を公表し、同国経済史上で重要な区切りとなる提言を行った。脱原子力に加えて「脱石炭に踏み切る」、としたのだ。これによりドイツが2000年から進めてきたエネルギー転換は、経済界・電力業界・納税者にとって本格的な試練を伴う正念場を迎える。
諮問委員会は報告書の中で、石炭火力発電所(褐炭を含む)の設備容量(17年末時点で43ギガワット)を段階的に減らし遅くとも38年末までにゼロにする、とした。独メルケル政権はこの提言に基づき、今年中に2本の関連法案を連邦議会で可決させる方針だ。
褐炭は露天掘りが可能で、ドイツでは最も調達コストが低い電源。このため第2次世界大戦後のドイツの経済復興を支えるエネルギー源として電力業界が最も重視してきた。1990年には褐炭・石炭の発電比率は56.7%に達しており、18年末時点でも35.4%とドイツの電源の中で最も高く、主力電源となっている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら