世界で急成長する洋上風力発電。欧州企業が波に乗る一方、風力発電機の自社生産から撤退する日立。背景には風力への本気度がない日本のエネルギー政策がある。
「ショックだ。『ジャパンフラッグ』がなくなるのは寂しい」。北九州市の行政幹部は日立製作所が風力発電機(風車)の自社生産からの撤退を年明けに決めたことを受け、肩を落とした。
北九州市は現在、響灘地区の沖合に最大22万キロワットの洋上風力発電施設の建設を計画している。5メガワット級の発電機なら44基が設置される規模だ。九州電力子会社の九電みらいエナジーなど5社による特別目的会社・ひびきウインドエナジーと事業実施協定を締結。総事業費は1750億円で、2022年に着工し順次運転を開始する計画だ。九電みらいの寺﨑正勝取締役は「洋上風力は今後伸びる可能性が大きい。響灘はエポックメイキングになる」と期待しており関連産業を集積させた大規模なウインドファームを目指している。
そこで風車メーカーとして最有力候補だったのが日立だ。三菱重工業とデンマーク・ヴェスタスとの合弁であるMHIヴェスタスの名前も挙がっていたが、同社の本社はデンマークにあり、実質的にヴェスタスが主導するなど、三菱重工の存在感は薄い。日本製鋼所など日本勢はこれまで軒並み風車から撤退しており、唯一残された純国産メーカーが日立だった。
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