日韓対立をあおっているのは先鋭化した「正義感」だ 感情的な摩擦を拡大せず時間を置くことが得策

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2月26日、韓国の文在寅大統領は独立運動家・安重根の墓を参拝した(YONHAP NEWS/アフロ)

最近になって「反日」と「嫌韓」のぶつかり合いは、ますますエスカレートしている。慰安婦、徴用工、竹島、レーダー照射に天皇への謝罪要求──。感情的対立が日ごとに深まり、各種報道に対するインターネット上の書き込みは、断交と制裁を求める過激な声がほとんどである。

この問題を、本連載のテーマである「人間の本能」の観点から考えたい。キーワードは「価値観」、とくに「正義感」である。今、日韓双方が相手を正義に反すると非難し合っている。なぜこういう状況が起きてしまうのか、その仕組みを考察しよう。

正義感などの価値観は、本能から生じている。人間の集団にとって、自らを犠牲にして尽くす行動は必要かつ有益である。価値観は、そのためのメカニズムとして、われわれの本能の中で進化した可能性が高いとみられている。

「より高い目的」「理念」などの価値観があれば、自己犠牲を伴う判断も行いやすい。群れの幼獣を救うため、ライオンに立ち向かうバッファローは、より高尚な目的のため恐怖を乗り越えて行動していると思われる。

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