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欠点ばかりの軽減税率はどうしてまかり通るのか 愚策を阻止するには経済教育が必要だ

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軽減税率は「本能」にとって実に心地いい政策だ(CORA / PIXTA)

10月から、消費税率が10%へ引き上げられる。

一般会計歳出の3分の1を占める社会保障費が今後も増加する中、歳入として安定性の高い消費税のウェートを引き上げることには、一定の必然性がある。

しかし賛同できないのは、同時に導入される「軽減税率」だ。政府は軽減税率を導入する目的について「低所得者に配慮する観点」と説明している。対象は「酒類及び外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」。要するに、低所得者への配慮(いわゆる逆進性緩和)を目的に、飲食品などの税率を現行の8%に据え置くわけだ。

軽減税率は、かなり質の悪い愚策であることがすでに明らかだ。NIRA総合研究開発機構が2016年10月に発行したリポート「わたしの構想 今なぜ軽減税率なのか?」ではEU(欧州連合)、ニュージーランドの事例が以下のように説明されている。

軽減税率が広まっているEU諸国では、軽減税率以外の標準税率が上がってしまう問題と、税制が複雑になり徴税・納税コストが想像以上に膨張する問題が起きている。そのためマルコ・ファンティーニ欧州委員会 税制・関税同盟総局 VAT部門長は、EUは軽減税率を加盟国に推奨しない、と述べている。一方、ニュージーランドでは、付加価値税の税率は1本だ。内国歳入庁政策戦略部門 シニア・ポリシー・アドバイザーのマリー・パロット氏によると、同国は軽減税率ではなく、対象を絞った税額控除や社会保障給付で低所得者に対応している。これにより、付加価値税率は低水準に抑えられつつ、財政の健全性は保たれている。

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