有料会員限定

『壁の向こうの住人たち アメリカの右派を覆う怒りと嘆き』 『すいません、ほぼ日の経営。』ほか

✎ 1〜 ✎ 188 ✎ 189 ✎ 190 ✎ 最新
拡大
縮小
壁の向こうの住人たち――アメリカの右派を覆う怒りと嘆き
壁の向こうの住人たち――アメリカの右派を覆う怒りと嘆き(A.R. ホックシールド 著/布施由紀子 訳/岩波書店/2900円+税/371ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Arlie Russell Hochschild●米カリフォルニア大学バークレー校名誉教授。フェミニスト社会学の第一人者。感情の社会性に着目し、1983年に『管理される心──感情が商品になるとき』を刊行、感情社会学という新しい分野を開拓。ほかの著書に『セカンド・シフト』『タイム・バインド』など。

「共感の壁」にどう対処 すばらしい実践の書

評者 慶応義塾大学環境学部教授 渡辺 靖

全米のリベラル派の象徴ともいうべきカリフォルニア大学バークレー校。本書は同校で長年教鞭をとったフェミニスト社会学の泰斗が南部ルイジアナ州で2011年から5年間行ったフィールドワークの賜物だ。

同州はバイブルベルトでありエネルギーベルト。政治的には保守の牙城だ。まさに「壁の向こうの住人たち」のもとをバークレーのフェミニストが訪れるのだから面白くないわけがない。

具体的な地域は、同州南西部に位置するレイクチャールズ市周辺。同地は全米有数の化学工業地帯であり、また深刻な環境汚染に伴い、がんの多発地帯としても知られる。そこに暮らす共和党支持派の白人中間層を対象に調査は行われた。

彼らの米国観を探るうえで著者が重要な「鍵穴」と位置付けたのは、なぜ公害に苦しんでいる人びとが、その元凶というべき企業への規制強化ではなく、むしろ一層の規制緩和を唱えるティーパーティ(茶会)運動を支持するのかという逆説。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内