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歴史と物語は違う 陰謀史観に鉄鎚を下す
1年前に、『週刊東洋経済』の同じ企画で5冊を選んだら、分厚い本が多くなりました。友人が「こんなん読めへんで。もっと手軽に読める本を選んだほうがええで」と。それもあって、今回は多忙なビジネスパーソンでも読める本にしました。でも『陰謀の日本中世史』は手軽に読める、読めないとは関係なく、2018年ピカイチの歴史書です。
歴史って面白いので、みんな安易に物語化して、教訓を導き出そうとするんです。こんな陰謀、こんな裏話があった、ここからこんな教訓が得られる、って。戦国時代、幕末なんかは格好の対象で、有名な作家が物語化すると、読者は信じてしまうんです。でもそれはエンターテインメント。歴史と物語は分けなくてはいけない。
著者の呉座勇一さんは、作家や市井の人々による歴史の物語化が続いてきたのは、専門家がその誤りを指摘してこなかったからだ、と書いています。指摘しても業績にならないので専門家が無視を決め込んだことが、歴史の安易な物語化を助長したのではないか、と。これがひいてはフェイクニュースの温床になっているから、誰かが猫の首に鈴をつけなきゃならない。本能寺の変をはじめ、史実に陰謀、黒幕なんてほとんどないということを一つひとつ証明します。安易な物語化への頂門の一針です。
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