医師国家試験に合格すれば一生安泰という時代ではなくなりつつある。これからの医師には医療界の環境変化を見据え、道なき道を切り開いていく覚悟が求められる。
難関の医師国家試験に合格し、大学を卒業したら、医師はどんなキャリアを歩むのか。
まず経験するのが、初期・後期に分かれた病院での研修である。初期の臨床研修では2年間で各診療科を回り、後期の専門研修では自身が選ぶ診療科で専門医の資格を取る。
かつては大学卒業後、出身大学病院の医局に入局し、初期・後期研修を経て、その後も大学病院やその関連病院でキャリアを積むのが一般的だった。しかし2004年度から自身や研修先の希望に基づく「マッチング」の仕組みが導入され、待遇のいい市中病院を選ぶ研修医が増えた経緯がある。
ただ、この市中病院偏重に変化が起こりつつある。きっかけは18年度から導入された後期研修における「新専門医制度」だ。
後期研修で取得する専門医の資格は、これまで日本内科学会などの各学会が任意で設けていた。ただ質のバラツキが問題視され、第三者機関の日本専門医機構が管理し、研修は大学病院などの大病院で行うことになったのだ。その結果、「結局後期研修で大学病院に行くことになるため、初期研修から大学病院を選ぶ人が増えている」(研修医)。こうした動きに対して、「医局の復権を狙った制度だ」との批判の声も上がっている。
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